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お知らせ

建設コンサルタントが切り拓く北海道の未来シンポジウム 開催概要

2024.05.09

■北海道通信 2024年(令和6年)2月13日(火曜日)掲載

国土交通省・橋本局長が講演
本道の価値最大化訴え
9期計画が描く本道の未来


 国土交通省北海道局の橋本幸局長が来道し、9日にANAクラウンプラザホテル札幌で開かれた建設コンサルタンツ協会北海道支部主催のシンポジウムにおいて基調講演を行った。橋本局長は「第9期北海道総合開発計画が描く北海道の末来」と題し、わが国を取り巻く社会経済情勢の変化や直面する課類に言及した上で、こうした状況を克服し課題解決を先導していくためには「他で代替できない北海道の価値を最大化」していくことが不可欠と強調。今後のスケジュールに関しては、必要な手続きを進め「来月中の決定を目指したいと考えている」と現時点の見通しを示した。

 9期計画を巡っては、今月1日に東京都内で国土審議会第28回北海道開発分科会を開き、計画案の取りまとめを終えたところ。目標は1「我が国の豊かな暮らしを支える北海道~食料安全保障、観光立国、ゼロカーボン北海道」、2「北海道の価値を生み出す北海道型地域構造~生産空間の維持・発展と強靭な国土づくり」と掲げている。

 計画の推進に当たっては、2024年度から全道10開建に地域連携課を新設。先導的な役割を果たしながら、地方公共団体、住民、NPO、企業、教育機関等と協働・連携し、官民共創によって地域の課題解決や価値向上の取組を推進するとしている。

 基調講演で橋本局長は、戦後の国土計画の変遷などを紹介。その上で、戦後の北海道開発については、1950年に策定された北海道開発法を根拠とし、法に基づく北海道総合開発計画を逐次、閣議決定してきたことを示した。

 9期計画に関しては「ロシアのウクライナ侵略によるエネルギーや食料の安定供給の重要性の高まり、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によるインバウンド観光需要の消失、2050年カーボンニュートラルに向けた国の政策展開」を踏まえ策定に向けた検討を開始したことを説明。計画の検討の視点などにもあらためて言及しながら、専門的な見地から詳細な分析を行い、データの裏付け、可視化が必要になるとし「パートナーとして建設コンサルタントの存在がある」とした。

 本道が全国随一の食料供給力、観光資源、脱炭素に向けた再生可能エネルギーなど高いポテンシャルを有することにも触れ「北海道が持っているこの三つを生かさなければ、この国の課題は絶対に乗り越えられない」と指摘。

「他で代替できない北海道の価値を最大化」していくことが不可欠とし、実現に資する主要施策なども示した。

■北海道通信 2024(令和6年)2月14日(水曜日)

建コン協道支部 パネルディスカッション
新たな発想で取組推進 交通、エネルギーなど9日に開かれた建設コンサルタンツ協会北海道支部(佐藤謙二支部長)の「建設コンサルタントが切り拓く北海道の末来シンポジウム」(13日付1、2面既報)において、北海道大学大学院工学研究院教授の岸邦宏氏、国土交通省北海道局長の橋本幸氏らによるパネルディスカッションを実施した。支部が取りまとめた提言書「交通からみた未来の姿2050」に寄せる言葉、若手エンジニアヘのエールなどをテーマに意見を交わした。

-提言書に対して-

 公共交通機関も連携乗り継ぎなど細かいところをつないでいくことが必要。今までは需要に合わせてインフラを整備していく考え方だったが、今後は運用の仕方に合わせたインフラ整備にしていかなければならない。こうした観点からいくと道の駅の交通結節点化やバスターミナルの高度化が重要となってくる。エネルギー問題に関しては、北海道が世界に勝負をかけていくには環境という観点が必要。自動車と公共交通のベストミックスを考えていかなければならない。

小林
 自動走行に対応した車両の提供や、ニーズに応じた様々な移動を支える新しい交通システムの提供といったものに貢献していきたい。水素社会を実現していく上では、メンテナンスや緊急時の対応といった体制構築が必要。地元の企業と連携してサプライチェーン全体を構築していくことをイメージしながら進めていきたい。

村瀬
 都心の再開発が進んでいる。新幹線駅舎にダイレクトに繋がる北5西1、西2の再開発ビルが計画されている。新幹線駅舎の東口にもう一つ改札口ができる。その二次交通の役割を果たす新たな車両、一見LRTに見えるデザインで創成川以東への交通を担うものを計画している。
 エネルギーについては、未来を開く北海道札幌宣言をキックオフとしてGX産業に取り組んでいる。

橋本
 北海道の価値というものは、交通や物流だけでカバーできるものではないと思う。1次生産に関わるコンサルの方もいるし、防災、治水、景観、観光など他の分野に広げることは簡単ではないと思うが、一つ一つから全体を見ていく形になっていけばいいと思っている。また、洋上風力、AIなど技術がどんどんアップデートされていく中で、役所もコンサルもそこにはキャッチアップしていかないと、道民に提示していくもののピントがずれていく可能性があるということを意識していかなければならない。

-北海道の未来を担う若いエンジニアにエールを-
橋本
 法律や計画を策定するのが私たちの仕事。掲げた仮説や方向性を裏付けるデータや分析が必要になる。そこにコンサルタントの役割がある。北海道局や北海道開発局が返してくるものに対して、前のめりで、面白いというイントラクティブな関係をつくっていけるようになりたい。それに対して、ぜひクリエイティブな仕事をして、遊び心、前向きさ、新しいこと、攻めの姿勢を持って続けていってほしい。

村瀬
 社会資本整備に関し、人口増加時代には整備率という指標で物事を測ってきたと思うが、これからの時代は合意形成が必要になるので、整備率に代わる指標的なもの(効果の見える化、可視化)を考えていく必要がある。提言については札幌市としても方向は同じ。互いに協力しながら進めていきたい。

小林
 札幌市の企業が進める水素ストーブの開発を手伝っており、雪まつり会場に展示した。当社はものづくりの企業なので、一緒に考えてできることがあれば手伝いたい。気軽に声をかけてもらえれば。


 公共交通は連携、乗り継ぎの面で厳しい状況。その厳しい状況を乗り越えた先というのが北海道型運輸連合やMaaSにつながっていくと思う。苦しいところを乗り越える今がチャンス。こうした中でのコンサルタントの役割が非常に重要となる。コンサルタントの皆さんからは遠慮しないで、われわれや発注者にどんどん提案するような人が出てきてほしい。


【登壇者】
パネリスト
北海道大学大学院工学研究院教授 岸 邦宏氏
国土交通省北海道局長 橋本 幸氏
札幌市まちづくり政策局都市計画担当局長 村瀬 利英氏
トヨタ自動車北海道(株)アドバンスド企画推進室 新エネ・新事業企画グループ長 小林 孝紘氏

コーディネーター
建設コンサルタンツ協会北海道支部提言活動WGプロジェクトマネージャー 澤 充隆氏