02 WHO WE ARE 建設コンサルタントとは

建設コンサルタントの定義は「公共工事の前払金保証事業に関する法律」において「土木建築に関する工事の設計、もしくは監理、若しくは土木建築に関する工事に関する調査・企画・立案若しくは助言を行うことの請負、もしくは受託を業をする者」とされ、国土交通省では、建設コンサルタントに測量業、地質調査業を加えた3業種を建設関連業と呼び、建設生産・管理システムの「上流部」における技術サービスの提供者と位置付けられています。

写真提供 国土交通省北海道開発局

社会資本整備とは

建設コンサルタントの歴史

建設コンサルタントの仕事

社会資本とは

社会資本(インフラストラクチャー)の語源は、古代ローマ人が使用したラテン語の「下部」を意味する「インフラ」と、「構造」を意味する「ストゥルクトゥーラ」から合成されたものと言われていて、先人たちの知恵や努力によって我が国に蓄積されてきたインフラが効果を発揮し、現在を生きる我々の日々の生活や社会経済活動の基盤となっています。

例えば、石狩川の治水事業は1910年に始まりすでに110年を超えていますが、原野や湿原であった流域は、北海道の中心として着実に発展してきました。また、近年においては、平成28年に3つの台風が北海道に上陸し記録的な大雨となりましたが、かつて整備を行ったインフラがその機能を発揮し、多くの人々の命や暮らしが守られたことは記憶に新しいところです。

社会資本の整備

社会資本整備は、現在を生きる我々の安全・安心を確保し、社会経済活動の基盤となるだけでなく、将来の世代の豊かな生活や社会経済活動、我が国の競争力の基盤となるものです。特に、我が国は諸外国と比較して、地震や豪雨など自然災害が数多く発生するなどの脆弱な国土条件下にあります。これまでも、安全・安心の確保や持続可能な地域社会の形成、経済成長を図るためにインフラ整備を進められてきましたが、激甚化・頻発化する自然災害や激化する国際競争等の下、必要となるインフラが十分ではないとの指摘もあります。

こうした中、現在の我が国のインフラが置かれている状況を諸外国との比較も含めしっかりと把握した上で、我が国が持続可能な発展を遂げ、現在を生きる我々や将来の世代が安全・安心に活力ある日々を送るために必要となる社会資本の整備に、ハード・ソフト両面から、戦略的・計画的に取り組んでいかなくてはならないといえるでしょう。

これからの社会資本整備の推進の方向性

大規模自然災害や新型コロナウイルス感染症の拡大により、「いのち」と真正面に向き合う今だからこそ、物質的な豊かさの指標のみにとらわれるのではなく、デジタル革命の加速や、気候変動も踏まえたSDGsへの関心の高まり等といった時代感も背景に、「真の豊かさ」を追い求めていくことが重要となっています。このような「真の豊かさ」の実現に、社会資本整備はどのような役割を果たすことができるでしょうか。

社会資本整備の本来の役割は、ストック効果の発現を通じ、国民の安全・安心、持続可能な地域社会、持続可能な経済成長の基盤を提供することです。近年、激甚化・頻発化する自然災害や新型コロナウイルス感染症により、インフラが本来の役割を果たすことの重要性は一層高まっているといえるでしょう。令和3年5月に閣議決定された第5次社会資本整備重点計画においても、社会資本整備の中長期的な目的を、①国民の安全・安心の確保(命や暮らしに対する不安やリスクが軽減される)、②持続可能な地域社会の形成(生活に必要なサービスを受けられ、時間・空間・生活ともにゆとりのある豊かな暮らしが実現)③経済成長の実現(経済が成長し、雇用や所得が安定的かつ持続的に確保される)という3つの役割を果たすことと位置付けています。社会資本整備がこのような本来の役割を果たすことこそが、「真の豊かさ」の実現の基盤となると考えられるでしょう。

北海道における社会資本整備

北海道における社会資本整備については、気候変動による水災害リスクの増大や切迫する日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震・津波、火山噴火等に対し、多様な関係者が連携しハード・ソフト対策を総合的かつ一体的に進め、更なる地域の防災力向上、安全・安心な社会基盤の形成が必要になってきます。そして、老朽化が進むインフラの機能維持を図るため、事後保全から予防保全へ本格転換するとともに、戦略的なインフラ老朽化対策の着実な推進も必要です。

また北海道は、1都道府県で近畿・中国・四国地方の合計面積に匹敵する広大な地域であり、人口密度は全国平均の概ね5分の1、都市間距離は約2~3倍と、国内他地域とはスケールが異なる広域分散型社会を形成しています。地域間での重層的な機能分担、交通等のネットワークによる連携を通じ、日常生活に支障のない都市機能・生活機能が提供される「基礎圏域」を形成し、「生産空間」での暮らしを支えつつ、基礎圏域内外の人々の活発な対流を促進する中で、人口の自然減・社会減の抑制を目指す「北海道型地域構造」の保持・形成を図る必要があります。

北海道の広さ 北海道の広さ

建設コンサルタントの歴史

我が国の社会資本整備の歴史を見ると、第二次世界大戦前は、内務省、農林省等の職員によって企画、調査、計画、設計から施工までを一貫して直轄・直営で行われていました。その後、昭和30年代に入って社会資本整備の急速な拡大とともに、大規模事業が着手され、調査、計画、設計及び工事監理において建設コンサルタント業務として、外部の民間技術力活用の気運が急速に高まりました。

このような状況を背景に昭和34年1月、建設コンサルタントの契約方式、標準契約書、価格の積算方法などを規定した「土木事業に係わる設計業務等を委託する場合の契約方式等について」が、建設省事務次官通達として発出されました。この通達の最大のポイントは「設計・施工分離の原則」の明確化で、この原則が建設コンサルタント業務の確立と発展の基礎となりました。

建設コンサルタントの公的な定義は、「公共工事の前払金保証事業に関する法律」で「土木建築に関する工事の設計、もしくは監理、もしくは土木建築に関する工事に関する調査・企画・立案もしくは助言を行うことの請負、もしくは受託を業とする者」と定義され、国土交通省では、建設コンサルタントに測量業、地質調査業を加えた3業種を建設関連業と呼び、建設生産・管理システムの「上流部」における技術サービスの提供者と位置付けています。

このように、建設コンサルタントという職業、立場は、発注者の補助者としてスタートし、コア業務(調査・計画・設計・工事監理・維持管理)を確実に推進する過程のなかで、自立する企業や技術者としての地位の確立を目指してきました。

北海道の広さ
建設コンサルタントの領域

これからの建設コンサルタント

建設コンサルタントは、企画・計画、設計、施工、維持管理・運営の各段階における役割だけでなく、複数段階にまたがる一連の事業プロセスのマネジメントを担うことが求められています。それぞれの受託業務において、契約に適合した成果物を納めるだけでなく、関係機関や関連事業との調整を支援するとともに、発注者の意思決定に必要な情報を提供する役割も担っています。また、地域住民やNPO等との関わりについても配慮することが求められています。

近年は、事業促進PPP、PM/CM、PPP・PFI、アセットマネジメントといったマネジメント系業務が導入され、技術分野だけでなく、法務、労務、ファイナンスなどの幅広い分野の知見を活かして事業執行を支援する役割が求められており、その業務にあたる技術者は、プレゼンテーション力、調整力、交渉力、情報力、判断力、そして組織統制力といった能力を駆使して善管注意義務を果たすことが求められています。

まちの形を考える仕事

建設コンサルタントと聞いて、どのようなイメージが浮かびますか?

「建設」という言葉がついていますが、工事現場で大型機械を使い、建物をつくっているのではありません。建設コンサルタントは、専門的な知識と技術で国土交通省などの国の機関や都道府県などの地方自治体(事業者)が抱えている課題解決のサポートを行い、具体方策を提案し、事業者に代わって企画・調査・計画・設計を行う企業と技術者のことをさします。

私たちが生活するために必要な道路・公園・上下水道・鉄道・橋・ダムなどの社会インフラ整備や、防災・減災計画、地域活性化に向けたまちづくりの立案、環境保全に役立つ技術を提供し、これからの社会のために必要なことを考え、課題解決の方法を提案する。それが建設コンサルタントの仕事です。

01 道路

人やモノの移動と交流に不可欠な道路。電話・ガス・上下水道などの施設を収容する空間であるとともに、災害時は避難・救援路としての役割を果たします。

道路

02 公園

住民の活動の場や憩いの場を提供するだけでなく、良好な都市環境や防火性の向上に寄与しています。

公園

03 上下水道

浄水場で作られた安全な水道水(上水)を利用したり、トイレなどで使用された水(下水)を排水するために道路の下などを利用して、家庭や工場などに水道管・下水道管が張り巡らされています。

上下水道

04 鉄道

地域住民の通学・通勤などの足として重要な役割を担う鉄道は、地域の経済活動の基盤となっています。

鉄道

05

交通路上の交差物を乗り越える橋梁は、川・海・谷などの地形、道路、線路などによって隔てられた地域を繋ぎ、安全で快適な交通ネットワークを形成します。

橋

06 ダム

ダムは、洪水時に流れ込む水の一部を貯めて下流域の水害を軽減する治水と、貯留された水を発電・飲料水・灌漑・工業用水などに利用する利水の役割を果たしています。

ダム

建設コンサルタントの役割

「建設」という言葉がついていますが、大型機械を使い工事を行うわけではなく、公共インフラ整備の実現に向けて、企画や調査計画、設計に関する技術コンサルティングサービスを行っています。

図1建設コンサルタントの役割
図1建設コンサルタントの役割

建設コンサルタントの分野

・河川、砂防および海岸 ・海洋 ・港湾及び空港 ・電力土木 ・道路 ・鉄道・上水道及び工業用水道 ・下水道 ・農業土木 ・森林土木 ・造園 ・都市計画及び地方計画・地質 ・土質及び基礎 ・鋼構造及びコンクリート ・トンネル ・施工計画、施工設備及び積算・建設環境 ・機械 ・水産土木 ・電気電子 ・廃棄物 ・建設情報

資格とキャリアアップ

建設コンサルタント業界では、社会的に重要な役割を担うという意義ややりがいがあることに加え、個人の能力を発揮できるチャンスがたくさんあります。これらのチャンスや仕事の経験を活かし技術者としての総合力を高め、より一層高いレベルの社会貢献ができるよう向上していくことが大切です。その際、客観的な技術力の裏付けとなる「資格」を取得することも重要です。優れた人材を迎え、さらに魅力ある集団として発展していきたいと考えています。

図2キャリアアップモデル

※1 技術士第二次試験の受験資格は公益社団法人日本技術士会のホームページを参照してください

※2 技術士第一次試験合格者またはJABEE修了者

※3 シビルコンサルティングマネージャー(RCCM)

図2キャリアアップモデル
図3RCCM取得までの流れ
図3RCCM取得までの流れ
図4技術士取得までの流れ
図4技術士取得までの流れ

あなたのまわりにも
建設コンサルタントのしごと

私たち北海道支部では、広く一般市民を対象に「社会資本整備の重要性」や「建設コンサルタントのしごと」を紹介することを目的にこの冊子を作成しました。内容としては、北海道の皆様に興味を持っていただきたいという思いから「北海道らしさ」をちりばめたものとし、また、写真等を中心としたパンフレットイメージとすることで、小学校高学年でも理解できるようなものとしました。是非、ご一読いただきますようお願い申し上げます。

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あなたのまわりにも建設コンサルタントのしごと